3. 秘密証書遺言 -3つの遺言方式遺言の弁護士

3. 秘密証書遺言3つの遺言方式

秘密証書遺言は遺言の内容を、遺言者以外に知られることなく作成できることが最大の特徴です。遺言の内容を秘密にする遺言の方式としては、自筆証書遺言と秘密証書遺言の2つがありますが、遺言の存在自体を秘密にしなくてもよいのであれば、遺言の存在を公証してもらう秘密証書遺言の作成による方が望ましいです。
また、代筆・ワープロによる作成も可能なため、比較的簡単に作成することができます。ただし、それに伴うデメリットが多いことも特徴です。秘密証書遺言を選ぶ人は、メリットだけでなくデメリットについてよく理解しておきましょう。
なお、秘密証書遺言はあまり利用されていない作成方法です。自筆証書遺言と同様、遺言の要件を満たしていない場合、遺言が無効となる場合があります。秘密証書遺言は最後に公証手続によって完成しますので、費用が必要となります。

1. 書証作成の手数料
目的の価額手数料
100万円以下5,000円
200万円以下7,000円
500万円以下11,000円
1000万円以下17,000円
3000万円以下23,000円
5000万円以下29,000円
1億円以下43,000円
3億円以下43,000円に右を加算 13,000円/5000万円毎
10億円以下95,000円に右を加算 11,000円/5000万円毎
10億円を超える場合249,000円に右を加算  8,000円/5000万円毎

不動産は固定資産評価額を基準に評価し、価額を算定することができないときは、500万円とみなし算定します。
上記の手数料は、相続人または受遺者1人あたりのものです。遺言書全体の手数料を算出する場合には、遺言により財産を相続または受遺する者全員の手数料を合算します。
例えば、目的物の価額が2億円の場合は、43,000円+(13,000円×2)で手数料は69,000円になります。

2. その他の手数料
遺言加算 目的物の価額が1億円未満の場合11,000円
祭祀主宰者の指定7,000円
遺言の取消し11,000円
秘密証書遺言11,000円
証書の用紙代 4枚を超えるごとに 1枚あたり250円

全体の財産が1億円未満の場合は、上記1. によって算出された手数料額に11,000円が加算されます。これを遺言加算といいます。
祭祀の主宰者の指定をした場合は、さらに一律11,000円の手数料がかかります。
遺言の取消しは11,000円、秘密証書遺言は11,000円かかります。
遺言執行者の指定や付言事項の記入は手数料に関係ありません。
公正証書遺言は、原本、正本、謄本の3部を作成します。これら遺言書の作成に必要な用紙のうち、4枚を超える分について1枚250円の費用がかかります。

3. 公証役場以外の執務
公証役場以外での執務 上記1. 手数料額の1.5倍
日当 (1日の場合)20,000円
日当 (4時間以内の場合)10,000円
交通費実費額

公証役場に赴くことができない遺言者のため、自宅や病院などに赴き公正証書遺言を作成することが可能です。その場合には、遺言加算を除いた目的価額による手数料額の1.5倍が基本手数料となります。これに公証人の日当・現地までの交通費がかかります。

具体的な計算例

総額1億円の財産を相続人に残す遺言

1. 妻1人のみに相続させる場合の手数料は、43,000円です。
2. 妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる場合には、妻の手数料は43,000円、長男の手数料は29,000円となり、その合計額は72,000円となります。
ただし、手数料令19条では、「遺言加算」という特別の手数料を定めており、1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円未満の場合は、11,000円を加算すると規定していますので、1. の手数料は54,000円、2. の手数料は83,000円が手数料となります。また別途、用紙代がかかります。

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秘密証書遺言を作成するにあたって3つの遺言方式

遺言書の保管場所

せっかくの遺言もみつからなくては意味がありません。
遺言は内容によって、得をする相続人や損をする相続人が出てきます。相続人以外の者に遺贈をする内容になっていることもあり、遺言の存在自体や遺言の内容は非常にデリケートなものです。
遺言書の保管は、発見されやすいところに置くと、見つけられて、開封され、変造、破棄される危険があります。そこで、遺言は遺言者の生前に他人の間に触れないところに保管をする必要があります。反面、あまりにも発見されにくいところに保管すると、逆に紛失し、遺言者が死亡した時に誰にも発見されずに遺言書の存在が闇に葬られることにもなります。
結論として遺言の保管方法は、生前は発見されづらく、死後は確実に発見され、かつ、変造が行われないようにすべきです。遺言書を確実に見つけてもらうには、遺言書の存在を信頼のおける人に保管場所とともに伝えておき、死後に相続人や遺贈をした人などに報告するように依頼します。例えば銀行の貸金庫は安全面ではよい保管場所ではありますが、貸金庫の開扉は相続人全員で行いますので、開扉に時間がかかることに注意しましょう。
遺言執行者をお願いした弁護士などがいる場合は、その者に預けておくのが、1つの確実な方法です。
なお、秘密証書遺言は公証役場で公証を行いますが、公正証書遺言と違って、公証役場で遺言書が保管されることはありません。

必ず検認手続

検認手続とは相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防ぐ手続きです。相続開始後に相続人等が行うものですので、遺言者の手を煩わせるものではありません。
検認手続は遺言書を発見後に、遺言書を発見した相続人等が家庭裁判所に申立てる必要があり、完了するまで1カ月ほどかかります。秘密証書遺言の内容を実現するには検認手続は不可欠で、例えば、検認手続を経ていない遺言に基づいて不動産の登記をしようとしても、登記所では受け付けてもらえません。相続人にとっては、家庭裁判所に出頭するなど手間がかかりますし、例えば、封をした秘密証書遺言に、遺言者の葬儀に関する希望などを書いてあったとしても、遺言書が手元に戻るころには、すでに葬儀は終了していますので、要望どおりにならないといったデメリットがあります。

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秘密証書遺言の作成の流れ

具体的な手順について説明します。

1. 遺言書の内容を決定

まず、誰に何を残すか、遺言の内容を決めます。

2. 文例を参考にして、下書きを作成

秘密証書遺言は自筆で作成する必要がありませんので、もちろんワープロで作成、もしくは代筆をお願いしても構いません。なお原案は、弁護士などの法律専門家に相談することをお勧めします。

3. 紙、ペン、ワープロ等、印鑑、封筒を用意

遺言書を自筆する場合、どのような紙を使用してもよく、例えば広告の紙の裏に書いても有効ですが、下書きの原稿であると判断される恐れがあるので避けるべきです。10年ほどでインクが消えてしまうコピー用紙よりも丈夫な和紙などが確実といわれます。筆記具はボールペン、サインペン、万年筆、筆など何でも構いません。

4. 遺言書を書く

原案(下書き)を読み返し漏れがなければ、正式な遺言書を自筆、ワープロ等で作成します。「遺言書」としての表題がなくても遺言書として有効です。書き方は縦書き横書きのどちらでも問題ありません。数字の書き方は、アラビア数字でも漢数字でもどちらでもよいのですが、不動産の表示や金額の数字については、変造を避けるために漢数字を使用したほうがよいでしょう。

5. 日付、署名・押印

秘密証書遺言の場合は、日付は必ずしも必要としませんが、書いておいた方がよいでしょう。遺言の最後には、自筆で署名・押印をします。印鑑は認印でも構いませんが、実印の方が好ましいでしょう。

6. 間違いがないか確認

訂正箇所があれば、訂正もしくは全て書き直します。訂正方法が間違っていれば、無効な遺言書となることがあります。自筆の場合の訂正方法は自筆証書遺言と同じ方式をとります。
書き上げた遺言書は、一度弁護士などの専門家に確認してもらいましょう。

7. 遺言書の封印

遺言書を封筒に入れ、遺言書に押印した印鑑で封印します。封入と封印は遺言者が自分で行う必要があります。

8. 証人の依頼

秘密証書遺言には、証人2人が必要です。そこでお願いする証人2人を決める必要があります。知人や相談した弁護士などに依頼してみましょう。また、知人や親戚に証人を依頼すると、証人から遺言の存否が、相続人に漏れる可能性があります。なお、弁護士には守秘義務がありますので、事実上遺言の存否の秘匿は可能となります。

9. 公証役場に予約

近くの公証役場へ電話して、秘密証書遺言の公証をお願いしたい旨を伝え、日時を調整のしたうえで予約をします。当日必要な書類等や費用について確認をしておきます。

10. 公証役場

封印ができたら公証役場に行き、公証人1人と証人2人以上の前に封書を提出して遺言者であることを申述します。第三者が書いた場合は、筆者の住所・氏名も述べます。遺言者、証人2人はそれぞれ、本人であることを確認できる免許証等を求められます。公証人が証書の提出された日付と遺言者の申述を封書に記載した後、遺言者、証人がともに署名押印します。
なお、口がきけない遺言者は、公証人および証人の前でその証書が自分の遺言である旨や筆者の氏名および住所を封筒に自筆して申述に代え、公証人がこの方式を踏んだ旨を封紙に記載して、申述の記載に代えることができます。
公証は、公証役場で作成するのが原則ですが、病気やけがなどで赴くことのできない場合は、日当や交通費等が必要となりますが、公証人が家や病院に出張してくれます。電話で打合せをした際に、出張が可能かどうか確認してみましょう。

11. 費用の支払い

公証費用は11,000円ほどです。事前に公正役場に確認しておきましょう。

12. 遺言の保管

秘密証書遺言は、公正証書遺言と異なり、公証役場は遺言書を保管しません。秘密証書遺言の現物は、遺言者本人が持ち帰り、自分で保管をする必要があります。遺言書の保管場所を慎重に検討します。

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