8. いざ!遺言を書く -遺言作成の準備の仕方遺言の弁護士

8 いざ!遺言を書く遺言作成の準備の仕方

共同遺言の禁止

2人以上の者が同一の証書を用いて遺言をすることを共同遺言といい、共同遺言は民法975条によって禁止されています。その理由としては、1. 各遺言者の意思が相互に制約され遺言自由の確保が困難であること、2. 遺言者の一方が死亡した場合に他方がもはや遺言を撤回できなくなるため遺言撤回の自由を妨げること、3. 遺言の効力発生時期につき問題が生じること、などがあげられます。つまり、2人で遺言を書くことによって、遺言の解釈が複雑になってしまうので禁止されています。どんなに仲の良い夫婦であっても共同で遺言をすることはできません。

「相続させる」の文言を使いましょう

「遺贈する」よりも「相続させる」旨の遺言のほうが有利

遺言では、「遺贈する」よりも「相続させる」旨の遺言の方が有利になります。その理由としては、登記手続きに際して遺贈の場合と異なり、相続の場合は登記手続きが単独でできること、遺産が農地の場合にも所有権移転に知事の許可が不要なことなどがあげられます。
特定の遺産について「相続させる」遺言があれば、遺言者が死亡した時点で相続人は遺産分割協議を要せずに遺産を取得することができます(ただし特定の遺産ではなく、抽象的な割合について「相続させる」旨の遺言があった場合には、遺産分割協議が必要になります)。不動産の所有権移転登記手続きをする際に、不動産を相続する人が単独で申請することができ、他の法定相続人の協力が不要です。遺言執行者がいる場合でも、不動産を相続する人が単独で申請できます。農地の相続では、「遺贈する」遺言であれば所有権移転登記に知事などの許可が必要であるのに対し、「相続させる」遺言であれば許可は不要となります。 もっとも「相続させる」旨の遺言ができるのは、あくまで法定相続人に対してのみです。遺贈は相手が相続人である必要性がないのに対して、遺産分割方法の指定・相続分の指定は共同相続人間での遺産分割を前提としているので、相手は相続人に限られます。相続人に財産を残すのであれば、「相続させる」、相続人でない人(受遺者)に残すのであれば、「遺贈する」の文言を使います。

財産の記載漏れに備える

せっかく遺言を作成したとしても、財産の記載漏れがある場合は、その財産については遺産分割協議を行う必要が出てきます。そのためにも遺言を作成する前に財産リストを正確に作成して、漏れがないようにする必要がありますが、遺言者自身が把握していない財産がないとも限りませんので、記載漏れは仕方がない場合もあります。財産の記載漏れに備えて、条項の最後に「上記記載の以外財産は、妻○○に相続させる」というような文言をいれておけば、万が一の漏れを防ぐことができます。

予備的遺言

遺言に記載した相続人や受遺者が遺言者より先に死亡する場合も考えられます。その場合、遺言のうちのその相続人や受遺者に予定していた効果については無効となります。
例えば、お世話になった甥の家族に財産を残してあげたいと考え、「・・・預貯金は全て甥○○に遺贈する」という遺言を作成したとします。その後、甥が遺言者より先に死亡してしまったとしても、その預貯金は当然に甥の家族(配偶者や子)が受け取れるわけではありません。受遺者が死亡している場合は、その財産については法定相続人で分割することになります。もし、甥の家族に財産を残してあげたいと考えているのであれば、「・・・預貯金は全て甥○○に遺贈する。ただし、万が一、甥○○が遺言者の相続開始時において既に亡くなっていた場合には、甥の妻△△に遺贈する。」というような但書の部分を付言します。これを予備的遺言といいます。
もちろん、甥が亡くなった時点で遺言を書き直せばよいのですが、そのとき遺言者が遺言能力のない状況になっていた場合は、書き直すことができませんし、大切な人が亡くなった場合に、遺言を書き直そうなどという発想が出てこないでしょう。
そのような事態を想定して、前もって次に相続させるもしくは遺贈する相手を決めておくことができます。予備的遺言を残すことによって相続人や遺贈者が遺言者よりも先に亡くなっていた場合や受け取りを拒否したという場合でも、新たに遺言を作成し直す必要がなくなります。

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